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2016年10月

2016年10月 8日 (土)

「海がきこえる」

氷室冴子の小説。アニメージュ連載、ジブリがテレビスペシャルとしてアニメ化。

アニメは観てない。「クララ白書」「アグネス白書」以外は矢張り氷室冴子は無理かもしれない。まぁ、その二作も漫画版あっての話だし。

高知に転校してきた高飛車美少女・里伽子と出会い振り回される純朴な優男の拓。その二人の物語……なんだけど。さすが、氷室冴子。誤字はあっても話は素晴らしい。主役とヒロイン以外の登場人物もきめ細かく魅力的に表現している。また、エピソード一つずつが濃くて、全てに繋がって行く。

「1」は無理して男視線で見たオッパイとか書いてるが、「2」になると消えてしまってる。そのせいか、やけに拓が淡白に見えてしまう。まぁ女子校育ちの氷室冴子が男の子語りの主人公というのは、ちょっと無理だったんじゃないの。「ターン」の解説した人にも「ベスト・オブ・女友達」って評されているぐらいだし。

にしても、
里伽子と拓がほとんど接近しないで終るのよね。特に「2」は大半が拓の先輩である津村知沙がメインになってるし……。「1」で気持ちよく終ってる事もあって「2」は完全に蛇足になってしまってるのが残念。最後まで拓が「都合のいい男」になってしまっているのは納得がいかない。里伽子はツンデレではなく、ツンのみなんだよなぁ。それでも美少女(美人)だから人気あるようだけど。「2」は殆ど女目線になってるし。随分とヒットしたみたいだけど、そんなに好きでもなかった。

拓の服選びに付き合ってくれた染谷涼子ちゃん。この娘は脇役ながら、「クララ白書」に出てくるキャラを彷彿させてくれてよかった。あのテンションの高さは桂木しのぶのようだった。こういうキャラの方が私は好きなので、どうにも初めから「すごい美人」と設定された
里伽子には魅力を全く感じなかったので、何で拓がそこまで入れ込むのか共感できなかった。津村知沙同様に「痛々しいから愛しい」っていうのは流石、氷室冴子の持つ繊細なセンサーは特筆すべきだが。

いずれアニメ観たい気もするけど、
里伽子だけプロの声優じゃないんだよな。ソレ以外がプロの声優というのはジブリでは最後の作品らしい。ジブリが嫌いなのはプロ声優を起用しなくなったと言う事も大きい。氷室冴子、確かにジブリが好きそうな傾向の作家ではあった。

「君の名は」

すごい人気らしいので観に行った。Gyaoでやってた新海監督の「言の葉」を観ていてよかった。劇場は満員。若いカップル多め、後はオタクっぽい人達。

「笑いのあるエンターテインメントを目指した」という事もあって、テンポの良いギャグを絡めながら進んで行く。田舎と都会、少年と少女——という対比。それが巨大な彗星と神の力を通じて身体が入れ替わり、親密になっていく。しかし、悲劇が襲う。その悲劇を回避するため、全力を尽くす二人。ただ、彼らは徐々に記憶を失っていく。名前さえも思い出せなくなっていく……。


途中で出てきた「ゆきちゃん先生」は矢張り「言の葉」に出てきた古文の教師だった。こういうサービスは好きだ。美しい映像と可愛いキャラ、お洒落な音楽、不思議な展開と切ない恋愛。近年はパッチワーク的な物作りが出来ないクリエイターは生き残れない。そのパッチワークの天才とも言える新海監督。使われているポスターも秀逸で、あの階段でのシーンには大きな意味が込められている。とにかく凝っている。ヒットの裏には世間がオタクっぽさを許容しはじめた事も一因と思われる。

単純に面白かった。身体の入れ替わりは飽くまでも神様の力なのか、はっきりしない。やっぱり彗星事件を回避させる為の神様の配慮なのか。んー?三葉の娘も入れ替わるって事だよねえ?まぁ。男が作った映画って事もあるけど、三葉が矢張り今時は死に絶えたような、しとやか美少女やんな。あと、テレビでも自主規制されてる面倒な時代にパンチラとオッパイとは。それでいて「女性差別」「セクハラ」とか言われないのが不思議だ。昨日NHKラジオに新海監督出てたけど、ほぼパンフレットと同じ回答を繰り返していた。小説家としては映画を掘り下げるみたいな感じだとか何とか。あと自分の映画はパラレルワールド的に存在している、とか。だから三葉があのままの世界もあるかもみたいな。

面白かった。けど、余り深く考えないで「あぁ、よかった」とか思えばいいと思うよ。オタクみたいに悩むとつまらない映画になってしまう。

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